―― この人、どんどんエロくなってってる。つまり!オレのセックス能力は、間違いなく高まっている! 快感の奔流に身悶える立花ケイの膣に陰茎を突き入れながら、井上ジュンは感激していた。 「あーイキそ。もう精子出ちゃいそ」 「ウン。きて。ジュンの好きな時に、一番奥で、出して」 うるんだ瞳で真正面からジュンを見つめるケイ。 いつもは「井上」なのに「ジュン」と呼ばれて、ジュンは意外に思いながらも、その陰茎は臨界点を突破した。 「イクッ!」 「アァ!うあぁ!アッアぁアァー!」 ジュンの射精を子宮に感じながら、ケイの二つの性器も絶頂に達した。 うつ伏せになって静かに目を閉じているジュンの頬を、ケイは指先で撫でた。 「ううーん」 「ふふっ♪」 ジュンの体に寄り添って、ケイも満足そうに眼を閉じた。 しぼみかけた陰茎がジュンの腰に触れて、また勃起しかけている。 「ねぇ」 「んー?」 「今度さ、服とか買いに行きたいんだけどさ。一緒にどうかな?なーんて」 「んんー?」 「だって、ジ、ジュン…に選んでもらった服、着たいかなーって。女の子っぽいの」 セックスの最中はいとも簡単に「ジュン」と呼べたが、行為が終わった後に呼んでみると、ケイは照れくさくなってしまった。 「んー」 「んー」の音程が下がったので、ケイは焦った。 「いいじゃん!ね?もっと気持ちも通わせた方が、パワーアップに繋がると思うしさ」 ジュンがムクリと体を起こしたので、ケイは驚いた。 「タワケぇーい!」 突然ジュンが怒鳴ったのでケイはさらに吃驚して、体を丸めて「ひぃ!」と小さく叫んだ。 「立花サン、オレたちは何でセックスしてるんですか?」 「…」 ジュンの質問の意図が掴めず、また、自分の意向を拒まれていく展開が見えて、ケイは横たわったままで黙り込んだ。 「何でセックスをしてるんですか?」 沈黙し続けるケイ。 「オレの対フタナリセックス能力をレベルアップして、レナさんを虜にする。そんでレナさんは、アナタの好きな人から離れる」 「…」 「で、寂しくなって泣いてるその人に、アタックしてオトす。ですよね?でしょ?」 「…うー」 言い方は酷いがその通りだと、ケイは思った。 「忘れちまったんですか、目的を?もしかしてその人と、何かあったんスか?それで、じゃぁオレでイイやって、そーなんスか?」 「うううー!ふひぃーん!」 ケイは頭の中がグルグル渦巻いてしまい、我慢できなくなって号泣した。 「そーなんかい!当たっちゃった!…あー。スンマセン。だ、大丈夫デスカ?」 予期せぬ事態にジュンはすっかり青ざめてしまい、ケイの肩をさすった。 「大丈夫スか?」 他にかける言葉が思いつかず、どう慰めたらよいか分からず、ジュンはうろたえた。 「もうダメだもん。もう、ユカに嫌われたモン!ふひーん!」 「どーしてですか?」 ひとしきり泣いた後で、ケイは白昼セックス実況報告の事や、それからユカとの関係がおかしくなったことをジュンに語った。 「なーるほど〜。そうでしたかー」 全部聞き終えて、ジュンは唸った。 「そーりゃユカさん、可愛そうだわ」 「ふ、ふひぃー!ひぃー!」 ジュンの一言がグサリと心に突き刺さり、ケイは両手で顔を覆って再び号泣した。 「泣きなはれ。たんと泣きなはれ。そんで明日になったら、まっさらな気持ちでユカさんに気持ちをぶつけなはれ」 小芝居モードになり、ジュンの口調はニセ関西弁へと変わった。 「イヤ!コワイのヤダ!」 「あかんたれ!アンタ、ねぇアンタ!ユカはんが他の誰かに奪われて、オメデトウって言えるんかい!」 「言えないケド。でも」 「でもやない!友達じゃなくて、恋人になりたいんやろ?」 「でも、オレ、ユカの前では男っぽくしてきたけど、ホントは女の子っぽくしたいかもって、なってきてて。井上のせいで」 ―― オレのせい…かもな〜。 ケイが時折見せる乙女らしい仕草や反応が、ジュンには面白く、魅力的に感じられた。 フタナリの肉体に慣れていく為には、二つの性器に対して平等に接していかねばならない。 そうと知りつつも、「自分にとっての魅力的なケイ」をより引き出そうとして、男性器よりも女性器を重点的に愛撫してきた。 その結果としての、女性器の感度発達。 そして遂に女性器が潮を吹いた時、ケイの乙女心を堰き止めていたダムが決壊したのであろうと、ジュンは仮説を立てていた。 ―― 加えて、ユカって人とのイザコザが拍車をかけたのか?まあとにかく、だ。 ジュンの目が、ドス黒い光を放つ。 ―― オレにとっての本命は、あくまでレナさん。これ以上アンタに深入りしたら、ややこしくなる。幕を引かせてもらうぜぇ。 「えーやないですか。女の子っぽいアンタもアンタやさかい、そんでドーンとぶちかましたりなはれ!」 「うー。じゃあ、やってみる。勇気、出してみる」 「気ばりやー!」 「井上」 「ハイ?」 「キス、しよ」 「ッえー?だって、立花はん、キスはご法度でっしゃろ?」 「いいの。勇気をくれた、お礼」 目を閉じたままで顔を自分の方へ向けたケイの唇を、ジュンは見つめた。 「じゃ、せっかくなんで。ごっちゃんです」 ジュンが軽く唇を重ねると、ケイは腕をジュンの背中にまわして、自分の方へ引き寄せた。 舌でケイの唇を舐めてみるとケイも舌を出してきたので、ジュンはその舌を吸った。 口の中へ舌を侵入させて唾液を啜りあったりするうちに、二人の陰茎が勃起してきた。 「あのー」 躊躇いがちにジュンが申し出ようとすると、ケイがその言葉を遮った。 「最後にもう一回だけ、スル?」 「ですねー♪」 ジュンは嬉しそうに笑って、またケイの唇を吸った。 |