立花ケイが腹痛に苦しむ井上ジュンに付き添い、自宅まで送り届けてやることにしたのは、ケイの心が弱っていたからなのかもしれない。 その道中の会話。 ジュン 「じゃあ立花サンは、レナさんのお友達なんすか?」 ケイ 「うん?まあね」 ―― 友達?敵だよ、敵。世界中で一番憎いヤロウだよ。 ケイは、心の中で呟いた。 ―― 井上がしっかりレナの関心を惹きつけておけば、ヤロウにユカを構う余裕なんてないんだろうに。…待てよ? ケイの頭に、ある企みが浮かんできた。 「なぁ井上。ちょっとレナの事で、相談したいことがあるんだけど」 「なんすか?」 「体調が治ったら、また会えないかな?」 「なんすか?相談とか言って、ナンパじゃないでしょうね?」 ジュンの手がケイの胸を揉む。 「わーぉ。小ぶりオッパイ」 「んな!」 ケイに突き飛ばされて、ジュンは路上に尻もちをついた。 「ホラ、立てよ」 怒りを堪えて、ケイは手を差し出した。 ゆっくりと体を起してケイの手を握ると、ジュンは照れくさそうに笑った。 「ちょっとチビっちゃいました。あっはは」 再び突き飛ばされたジュンは、路面をコロコロと転がった。 「いったーぃ。何するんですのー」 「ゴメン。つい」 ジュンの自宅前でケータイの電話番号を教えあって、その日は別れた。 * 数日後。 体調が回復したジュンは、ケイに連れられて「カラオケ・みだっすく」へとやってきた。 「さあ歌え、井上」 分厚い歌本とリモコンを、ジュンの方へと差し出すケイ。 「そりゃオレだって、歌うのは嫌いじゃない。つーか好きなんすけど。喫茶店とかじゃ話し辛いってんで、ココ来たんでしょ?」 ジュンは受け取った歌本とリモコンを机の上に置いて、ケイを上目使いに見た。 「まあな。んじゃ、さっそく本題だ。井上。お前、オレとセックスしろ」 「っはー。乳揉まれて、あんだけ拒絶する人のセリフとは思えませんなー」 その時の感触を思い浮かべて、じっと自分の掌を見つめるジュン。 「あれは!イキナリすぎたんだよ」 「いきなりセックスしろって言う人が!っはー」 「お前には、がっちりとレナを捕まえておいてもらわないと困るんだよ!」 「な?なんでアンタにそんなコト指図されないとイカンのですか!」 「指図じゃない、お願いだよ。オレの好きな人がレナにたぶらかされてるから、レナがお前とくっつけば、ソイツはオレと、その」 「あーそっか。そんでオレとセックスって…なんでやねん!」 「実はな。お前と、女の子とレナの三人でセックスした時あったろ、あの時オレは、ヤツのベッドの下にいた」 「コワ!アンタ何してんすか!この覗き魔!」 「ヤツが呼んだんだよ!勝手に人の家のベッドに潜むって、オレは忍びか!」 「え?しのぶサン?」 「もうエエわ!」 ケイは一呼吸置いて、ジュンに言った。 「その時、思ったんだ。お前は、フタナリの体に慣れていない、ってな。だからレナは満足できなくて、他に目がいくんだよ」 「なぬぃー!」 「経験が足りないんだよ。だから、オレの体を使って慣れろ。いや、慣れて下さい!」 ケイに深々と頭を下げられて、その真剣さにジュンは打たれた。 ―― 相手の気持ちが自分の方に向いていないって、オレと似た状況なのかもな。 「切ないっスね」 「うん」 悲しみに沈んだケイの顔を見て、ジュンの股間は熱くなった。 「わかりました」 「あ!ア、アリガト」 「エート、いつから」 「じゃ、今からシヨっか!」 「早いな!つか、ココでかい!」 「はい、コッチきて」 ケイはパンパンパンと自分の横のスペースを叩いて、こっちに来て座れとジュンを急かした。 「えぇー?マズイっしょ。外から見られるし、店員が突入してくるっしょ」 などと言いつつも、ジュンはケイの横に腰を下ろした。 「ちゃっちゃとヤッちゃえば大丈夫ダロ。そんなことより、せっかくだから曲入れろよ。歌いながらシようぜ」 ケイは歌本を手にとって、パラパラめくり出した。 「アンタ滅茶苦茶だな!出来るかそんなもん!」 「それくらい出来ないと、レナをゲット出来ないんじゃないかなー」 「くえー!わかったよわかりましたよやってやりますよ!」 身を寄せてくるジュンに、ケイは両手を胸の前でクロスさせて言った。 「井上、チューはすんなよ」 「!あっそ。ハイハイ」 ―― ナルホド。唇だけは、好きな相手にしか許さないってか。可愛いね。 ジュンは、尚も本のページをめくり続けているケイの体を抱きしめた。 ケイの体がビクンと震えた。 「下だけ脱がしちゃってイイ?立花さんのチンポ、どんなんかな〜」 ジュンはケイの耳元で囁きながら、デニムパンツのボタンを外してジッパーを下ろした。 そこから現れたのは、センターにリボンのついた、レースのピンクパンティー。 「ズッキューン!トランクスかと思いきや」 「なんだよ。オレがパンティー穿いてちゃ、ヘンだってのかよォ」 ケイは歌本で顔を覆って、弱々しく言った。 「スッゲ、可愛いっすよ。なんか、本当の立花さんを発見したっていうか。うぉー!」 目を輝かせて、マジマジと見つめるジュン。 「うー」 ケイはジュンの反応に照れて、身をよじった。 ―― つーか、この人マジでカワイイんじゃね? ジュンの欲情メーターの針が、右方向へと動き出した。 「腰、浮かして」 「あ〜!この曲、入れちゃおっかなー!」 言われるがままに腰を浮かせてパンツを膝まで脱がされ、パンティーの中から陰茎を露出されるケイ。 どんどん恥ずかしさが増してきたケイであったが、悟られまいとして「なんでもない」といった風情で、リモコンの操作をする。 だが、その指先は震えていた。 「わー。可愛いオチンポ〜!匂いも、クンカクンカ…ほおぅ〜。あー。たまんね」 ジュンにとっては篠田カナメ以来の、男性器との遭遇だった。 「うー」 ますますケイは真っ赤になって、股間を隠そうとする。 「だーめ。よっく見せて。あぁ、これくらいのサイズだとアゴ疲れないから、いっくらでもしゃぶってられそうな…」 「どうせ、ちっさいですヨーだ!」 「うをー。なんか嬉しくなってきた♪」 ―― レナさんやカナメやオレのと比べると、一番小さいサイズだな。カナメの魔界チンポより、ずっと好感が持てるよ。 ジュンは床に膝をついてケイの股間に顔を寄せ、陰茎に軽くキスをした。 「うあ!」 「手はいろんなトコ触ってバイ菌ついちゃってるから、口だけでスルね」 他の誰かに見られるかもしれない状況で、知り合って間もない少年に陰茎を愛撫されて、ケイの陰茎は急激に硬くなっていった。 舌を這わせたり口にくわえたりしながら、ジュンはケイの陰茎を品定めしていく。 ―― ふーん。勃起したチンポで比べてみても、やはりレナさんチンポの勝ちだな。でも、これはこれで魅力的ではあるか。 「あッ、す、すご…」 ケイはジュンのフェラチオの巧みさに、陶然となっていた。 ―― このコ男のくせに、なんでこんな上手なの?テクだけなら、ユカよりずっと上手かも?って、そんなコトないない!今の取り消し! ジュン 「ちょいちょいちょい。歌、始まってる!」 いつの間にか曲のイントロが終わり、画面に歌詞が映っている。 ケイは急いでマイクを手にとって、スイッチをオンにした。 「…ステリー・トレイン♪季節外れの湯けむりドリーマーたちが今年も集って、きぃますー♪チュミミチュ…うぅ、はぁッ」 「ヤバイ。このチンポ、病みつきになりそうな咥え心地。つーか、もうチンポ入れるね」 ジュンは慌ててズボンを脱いで、勃起した陰茎をケイの陰唇にズブジュブと挿入していった。 「…えぅ、ワン・トゥー・スリーぃで飛び込んじゃ、えええ♪ア、あ、あ、うアぁ。ダッイブ、イントゥ、湯け…あーッ!」 「ホラ、ちゃんと歌って!あー誰か来ちゃうかも!ヤバイヤバイヤバイ!早く!早く!歌いながら早く!」 「地域おこしなら〜ハァッ!お任せェウッ!あアーれ☆ダメーん!」 剥き出しになった下半身同士が、激しくぶつかり合う。 その時、唐突に部屋のドアが開けられた。 「失礼します。お客様。当店では、そのような猥褻行為は禁止させて…オーイ、聞けって」 男性店員が二人を制止すべく声をかけたが、二人の動きはまったく止む気配がない。 「教えぇて効能ー♪中出しチュミミィィィー!」 「うああああああッあッあ」 極度に興奮している二人は店員を完全に無視する形で、絶頂に達した。 「あきれるっちゅーかなんちゅーか。あーあ」 男性店員が室内に入ってきて、ジュンの肩をたたく。 ようやくジュンに存在を気付いてもらえた店員が、怒気を帯びた笑顔で言った。 「掃除してから、帰れよ」 「え?あ、ハイ」 朦朧としたままのジュンがケイの膣から陰茎を引き抜くと、膣の中から精液が溢れだした。 「わああ。垂れる垂れるたれるぅー!」 放心状態だったケイがジュンの声で我に返り、脇に置かれている自分のショルダーバッグを指さして叫んだ。 「バッグ!中にティッシュ入ってるから!」 「ダメだ!もう間に合わねえ!」 ジュンはケイの股間に顔を突っ込み、音を立てて精液を啜った。 「アッ!あ、アアァ」 重力の虜になりつつあったケイの陰茎が、再び硬度を増した。 「うええ。オレの精子、マッズぅー!」 ジュンが不快を訴える。 店員は呆れ顔で二人を見つめながら、溜息をついた。 そして一言。 「永久追放、決定」 |