郷土研究部。 郷土の生活、文化を学び、郷土への愛情と理解を育む事を目的として作られた部である。 部室は、使われなくなった備品やらが置かれた、物置のような部屋だった。 隣が職員室なので、この部屋は不良達のたまり場になることを免れている。 ある放課後。 今その部室には、井上ジュンと神崎マドカの二人きりしかいない。 壊れてガタガタする椅子に腰掛けたジュンが、ドアの近くに立っているマドカに、作り笑いを浮かべて手招きする。 「なに突っ立ってんのさ。こっち来て、座ったらいいじゃん。ホラ、お座ンなさいって」 マドカは視線を合わせず、不機嫌そうに対応する。 「ジュンくん。私、忙しいの。話ってなに?」 冷やかなマドカの態度に、ジュンは動揺した。 「あっそ。あっそ。じゃぁ、言うけどさ。最近レナさんと、どう?」 「どうって?」 「会ってンの?会っちゃったりしてんの?」 マドカは黙ったまま、ドアの方を見つめている。 ―― レナ先生は、ジュンくんと違ってやさしいニャ。やっぱり別れられないニャ。ジュンくんには、渡さないニャ! マドカは、心の中でそう思った。 ジュンはマドカの態度に業を煮やし、早口に捲し立てた。 「会ってるんだろ?オレを抜きにして、二人で仲良くしてんだろ?だからレナさんはまた、オレとあんまり会ってくれないんだ」 マドカは、沈黙を保っている。 「そうなのか?黙ってるってのは、そういうコトなんだな!おい、答えろよ。お答なさいな!」 「…」 「答えないな。よーし。なら、当ててやる。当てましょうとも。ズバリ当てましょう。お前はレナさんと会っている!」 まさにその通りであったが、マドカは表情を変えず、沈黙し続けている。 「二人でセックスしているんだろ。お前は、レナさんの極上ティンポを、独り占めしてるんだ。どうだ当たったか?」 「…」 「三人で仲良くやっていこうと、半歩譲ったオレの寛大な気持ちに、泥を塗りやがって。この、恩知らずが!」 「…」 「レナさんにおっぱい揉まれて、マンヒダ吸われて気持ち良くなってるんだ。これまた大当たり!」 「…」 「レナさんのオティンポ、フェラしたり、エッチなコトしまくってんだよお前は!ピポピポピポン!正解!」 「…」 「オレにチンポぶち込まれて、失神しやがったくせに!いいニャンいいニャンて、ぬかしやがったくせによ!」 ジュンの目が、ギラギラ光りだしている。 自ら発した言葉に、欲情し始めていた。 「オレはもう、10日もセックスしてないんだぞ!どうしてくれるんだ?今からヤルから、ここでマンコ出せ!」 「今日、家庭教師が来るから。じゃあね」 げんなりした顔で、部室から出て行こうとするマドカ。 「お待ちなさい!」 ジュンは慌てて立ち上がり、マドカの腕を掴んだ。 「イタイ!」 「ワリ!ワリかった!」 マドカの小さな悲鳴にたじろいだジュンは、反射的にパッと手を離した。 機を逃さず部屋を出ていくマドカの口元に、微かな微笑み。 ジュンはそれを、見逃さなかった。 ひとり残された部屋の中で、ジュンは小さく呟いた。 「正解率、100%」 疑惑は確信へと変わり、ジュンの心は暗い海の底へと沈んでいった。 ―― なぜレナさんは、オレをないがしろにするんだ?嫌われるようなコト、したっけ? ジュンには、サッパリ分からなかった。 |