「みるくちゃん。み〜るくちゃん♪こっちへおいで。おいでおいで」

ソファーに腰掛けた所属プロダクションの会長、そしてファンクラブ会員NO.1でもある猪狩が、自分の膝をポンポン叩いている。

「ハイ」

猪狩の為だけに作られたコスチュームに身を包み、工藤亜季=炎上みるくは猪狩の膝に腰を下ろした。

そのコスチュームは、乳房と局部が剥き出しになっていた。

「さぁ、みるくちゃん。オシッコしようねー」

「ハーイ」

次第にエスカレートしていく変態行為が、亜季は嫌で嫌で堪らなかったが、その一方で別の感情も芽生えつつあった。

「今日のリクエストは、ドッキンじゃ」

猪狩の言うドッキンとは、みるくの持ち歌「ドッキン☆シャワー」を意味する。

行為の最中に亜季に歌わせるのが、最近の猪狩のお気に入りであった。

亜季が、小さな声で歌い出す。

程なく後ろから猪狩の手が伸びてきて、亜季の体を這いまわり始める。

おぞましい指先で、弧を描くように乳房をゆっくりと撫でられて、亜季は身をくねらせた。

「ンンン?みるくちゃん、どうしたんじゃ?音程が乱れておりますぞい」

乳房を鷲掴みにしていた手がきゅっとすぼまり、乳首を摘む。

「んアッ」

堪え切れずに亜季は喘ぎ声を洩らしたが、直ぐにまた歌い続ける。

「我慢強い娘じゃわい。さすが、ワシが見込んだだけのことはあるのぉ。ふぁふぉふぉ」

猪狩の人差し指と中指が互い違いに前に出て、だんだんと亜季の下腹部へと移動していく。

ぞわぞわとした悪寒に包まれ、亜季の声が震える。

だが、心の奥の方で別の気持ちも揺らめいていた。亜季が認めたくない、気持ちだった。

「ふぉう♪」

妙な掛け声とともに、猪狩の手が亜季の股間にモゾモゾと入り込んでいく。

「!」

ビクン!と亜季の体が跳ねあがった。

「おやぁ〜?なんだか湿っておりますなぁ。ムンムンと」

猪狩は一旦亜季の股間から手を引き抜いて自分の鼻先へと持っていき、匂いを嗅いだ。

亜季は認めたくなかったが、肉体は猪狩の愛撫に雌の反応をしていた。

「ふぁふぉふぉ。いいニオイじゃ」

さらに指を口に突っ込んで、ぶちゅらぶちゅらと舐め回した。

「甘露、甘露」

唾のたっぷり付着した手が再び亜季の股間へと戻り、太腿や陰部付近を撫でていく。

もう一方の手も、亜季の乳房を揉んだり乳首を抓ったりと蠢いている。

いつしか亜季の歌声はねっとりと艶を帯び、途切れがちになっていた。

「どうじゃ、みるくちゃん。そろそろ、出そうかの?」

「ハ、ハイ。オシッコ、出したいデスゥ」

「そうか、そうか。ところで今夜は、スペシャルなゲストをお招きしておる。…おーい!」

ドアが開いて入ってきた人物を見て、亜季は驚愕した。

「おにいちゃん!どうして?」

それは失踪していた亜季の兄、幹男であった。

猪狩の手を払いのけ、立ちあがろうとする亜季を幹男の鋭い声が制した。

「亜季!そのままで、猪狩会長に従ってくれ!」

「エッ?」

「頼むッ!オレは、この人には逆らえないんだよ。だから…オネガイシマス」

久しぶりの、待ち望んでいた愛しい兄との再会。

その兄から発せられたあまりにも酷い要求に亜季は放心した。

だが、幹男の短い言葉の中から、兄がのっぴきならない状況に追い込まれているのだろうと、亜季は察した。

「お兄ちゃん。そこに腰掛けて、見ててくれんか」

「わかりました、会長」

幹男は猪狩の言葉に従い、ソファーの隅に腰を下ろした。

自分の子を宿した麻田徹子との半同棲を続けていた幹男を見つけ出した猪狩は、幹男を罠にかけて、借金地獄に落とした。

その借金を肩代わりすることを条件に、猪狩は幹男を支配し、今夜のゲストとして呼び寄せたのだった。

「愛するお兄ちゃんとの感動の再会を果たしたところで、みるくちゃん。いつものように、オシッコ出しておくれ」

指先で陰部を撫でたり開くようにして、猪狩が促す。

もう、猪狩の言葉に従うしかない。

亜季は諦めて排尿する決心をしたが、一つ確認しておかなければならなかった。

「おにいちゃん、亜季のコト、好き?」

ぐっと言葉を詰まらせてから、絞り出すような声で幹男は言った。

「好きだよ、亜季。愛してる」

「ウン。私もだよ。おにいちゃん」

涙を零しながら微笑む亜季の股間からチョロっと迸った液体は、急激に勢いを増し、弧を描いて床を濡らしていった。






工藤幹男と工藤亜季



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